2022年10月21日 石巻青果様の会場をお借りして
市場流通ビジョンを考える会北日本地域部会を開催しました。
コロナから3年ぶりの開催となりましたが、リアルでのセミナーは改めて場を一緒に共有する大切さを感じました。
今回は、2名の講師で事業承継、石巻青果の取組みの2本だてで開催しました。
1.事業承継(親族承継)・相続における知っておくべき課題と対策
最初の講師はプルデンシャル生命保険の根津 剛さん
相続の基本スキーム。どのような点で家族がもめるのか?
子どもがもめた場合、親の墓参りは一緒にしなくなり、お盆正月に集まることもなくなる。天国の親はこういう状況を望んでいたのか?
相続とは、先代の死亡だけではなく、認知症も関係してくる
認知症となると、株主としての議決権がなくなる。
親が元気な内に、兄弟が争わないため、微妙な空気にならないためにも
事前に遺言状、遺産分割の書面を残しておくことが大事
実際の相続では、会社の土地、株など換金できないものが多い。
生命保険は、相続財産に入らないため、生命保険を活用することで遺産分割がスムーズになり、第3者が間に入ることで事前の親子、兄弟間の協議が進みやすい。
市場は、一族経営が多いです。
親子で会長、社長をしている会社、兄弟で社長、専務をしている会社
ご子息がまだ若く、間に従業員から社長を務めている会社
いろいろかと思います。
会社だけでなく、従業員でも相続は個人の立場でも発生します。
親との相続だけでなく、自分の相続も実は身近な問題です。
これだけリアルに相続について話を聞ける機会はなかなかなく、
皆さんがそれぞれの想いで相続を自分ごとに熱心に聞かれておりました。
2.石巻青果のこれまでの取組みと今後について
2人目の講師は、本年5月の株主総会で近江 惠一氏から菊池 和彦氏へと社長交代がされたタイミングでこれまでの歴史と今後について語っていただきました。
昭和47年に3市場が合併してできた当時は30億の市場でありましたが、その後15年で110億に伸長、平成に入りバブル以降の日本経済が失われた20年と言われた不景気にも確実に成長をとげ現在の180億にまで至っています。
宮城県石巻市は、特段の大産地があるわけではなく、仙台には中央市場があり200億の中央卸売会社が2社君臨をしておりました。地方の公設市場がなぜここまでの伸長をとげたのか?
疑問に思う方も多いと思います。
話を聞いていて感じたのは、個々の役職員の事業を伸ばすことへの意識の強さが一番の理由だと思いました。
創業当初からパッケージ機能を取り入れ、生産者によりそいながらも直接量販店への営業部署を設立し、仲卸を誘致しながらも、自社が主体的に相対取引をおこなってきたこと
市場整備計画が市の財政運営から白紙に戻った際に、H17に民営化に踏み切り、
H22には、市場移転を実行。民営化になることで、当初の移転予算を大幅に削減して自力で調達をして3温度帯の閉鎖型の市場を完成
民営化になるということは、固定資産税も自前で負担するため、そうしたハンデを背負いながらも黒字にしていく意識は他人事に感じる方はおらず、公設の市場に入る卸売会社とは大きな違いがあったのかと思います。
その後の加工業務関係の契約販売も相当に苦労しながらも食らいついていくところも民営化や東日本大震災などの数々の苦労を経て、市場の自立、市場の役割について個々の成長が大きかったと思います。
市場は、靴下でも歩ける市場を目指し、毎日役職員全員で清掃をしており、10年経過した今でもピカピカです。
来客には、事前に歓迎の看板があり、全員起立して送迎の挨拶を丁寧にしてくださいます。会社全体がまとめっている。来た人は皆驚く光景です。
やっぱり環境の違いではなく、人だよね。
講演後の懇親会でどこかの方が感想をおっしゃりました。
今回の研究会には、遠方からもわざわざ時間とお金をかけて足を運ぶ会社の姿がありました。どの会社も間違いなく、今後の市場を引っ張っていく会社であり、経営者、管理部役員方の意識の高さを感じました。
動く市場と動けない市場。正確には市場の人であり個々の意識の差がこれから顕著になっていくと改めて感じた1日でした。
次年度の研究会は、今回来てくれた市場へ視察をかねて開催し、さらに結びつきを強くしてもらいたいと事務局として考えております。